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治療の予後が良い方の特徴

2018.01.5

以前も簡単に、ご本人に発達障害が(例え軽度であっても)ある自覚がある方の方が、治療は早くより適応的になりやすいとお伝えしました。

今回は、予後の良い方の特徴についてお話したいと思います。

自覚がないと困り感も持続もない

発達障害における治療とは「自己に気づき変容すること」です。そのため、自己に気づかない人はそもそも変容する必要性を感じませんし、何より自分の苦手なところと向き合わされる治療を避ける傾向にあります。

逆に自覚があり、なんとかしたいと思っている方は成人、思春期を問わず、しっかりした目的意識のもとに、また治療者を信頼してくれ、驚くほど、コミュニケーションの質の改善や、ストレスの軽減を体験されておられます。

当たり前のことですが、ガンでも発達障害でも治療にしんどさが伴う場合、よほどの価値を見出さないと継続は難しいです。

そのため、何度もお伝えしているように、ご本人の困り感(ニーズ)というものは、発達障害の治療において、大きな資源となりえます。

いかにして困り感を持ってもらうか?

結論から言うと、ご本人が困るまで待つ、ということです。

下手に家族やパートナーから指摘されると、むっとするだけではなく、逆ギレされる場合もしばしばお聞きします。

唯一発達障害のことをご家族から伝えることがあるとするなら、それは「ネットで不確かな知識を得てしまい、それにより傷ついているとき正しい知識を持っている専門家に繋ぐ場合」のみです。

我々臨床心理士や精神科のドクターなどに繋ぐ場合ですね。

本当にみなさん驚かれるのですが、いくら保護者がネットの無責任な書き込みを見ても、ご本人にとっては落ち込むだけで意味がないと何度も伝えても見ていたお子さんが、私と5分話しをしただけで、ネットの情報を見なくなり、正しい情報を得るために、本を調べだしたと言うのです。

そのくらい、専門家というのは力がある、ということが言いたいのではなく、専門家はそうやって活用するものだということです。

このようにネットの知識だけに偏り、かつご本人が振り回されている場合は、『正しい知識を得るために』発達障害のことを話題にする必要はあります。
逆にそれ以外では、一定思春期以上になって、周りと違うことを気にされている状態のときには、発達障害の特徴や欠点を挙げて、『ほら?あなたに当てはまるでしょう?』と言う必要は全くありません。

なので、出来るだけ保護者とご本人の関係が壊れないように発達障害への正しい知識をご本人が得ることが、一番の治療方法ということになります。

具体的な方法は?

以前も何度か述べているバイトに行かせるのも1つの手です。
もちろんバイト以外にも色んなコミュニティに所属することで、フィードバックを受ける機会は出てくるのですが、例えばサークルなどには参加義務はないので、フィードバックを継続的に受けられる環境に身を置くというのは大事なことになります。

バイトだけではなく、(ご本人が興味を持って始めた)習い事であったり、オンラインゲームであってもパソコンの向こうの相手とトラブルになることもあるので、そういったことが続いて、悩んだときが、受診の一番いい機会だと我々はお伝えしています。

よく私が伝えるのは、ご本人に対して<キミには得意、不得意の差が大きくて、人は大体得意なところで相手を見ていることが多い。だから不得意なところは『サボってる』と思われることもある。そういった誤解も嫌だろうから、ハッキリさせるために、心理検査を受けると、能力の得意・不得意は分かるようになるよ>と伝えると、かなり高い確率で(個人的には100%です)気持ち的には前向きに調べてみたいと思うようです。

保護者は優秀な営業マンであって欲しい

最終的にご本人のことを一番よく見ていて、どういうニーズを持ちやすく、どういう環境に身を置けば困り感を持ちやすいかを知っているのは保護者です。

そのためには、保護者は優秀な営業マンでなくてはなりません。

直球で『あなたにはこれが足りないから、これが必要なのよ』と売りつけても、ご本人はその気にも、買う気(治療を受ける気)にもならないのです。

もちろんあなたのお子さんなので、素直に言うことは聞いて欲しいし、直球で伝えたいこともあるでしょう。

しかし、大事なことはご本人が困り感を早期に持ち、積極的に治療を受けようと思うこと。

そこは割り切り、正直であることよりも、ご本人が継続して治療を受けたくなるような環境に導く段取りを考えてあげて下さい。

 

そのためには、少しずつ噛み砕いて説明をしたり、困っていることを助けたいと思っていたり、得意不得意のギャップがあることであったり、それを正しく調べるにはどこに行くとよいのか、それらを丁寧に伝えていく必要があります。

 

必要であれば、もちろん我々からもご支援致しますので、その際にはご連絡を下さい。