療育とは?発達障害への療育の内容とその効果
療育と一言で言っても、発達障害のお子さんへのアプローチには様々な方法があります。
今回はいくつかよく使われる方法をお話したいと思います。
TEACCH
Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren」(自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育)の略で、米ノースカロライナ州で開発されたASDの方に対する支援プログラムです。
TEACCHでは、見通しを持つことが苦手な自閉症児への支援プログラムとして開発がスタートしました。お子さんが混乱を起こさないために、教育場面と家庭場面とでルールを統一したことが画期的であったと言われています。
ASD傾向のあるお子さんは、「いつ」「どのタイミングで(切り替え)」「どこで」「何をするのか」「どうなったら終了なのか」を、識別したり、区別することがとても苦手です。
そのため、TEACCHプログラムでは、目で見て分かる構造化という技法を使い、今することと終わりのタイミング、次の課題がひと目で見て分かるようになっています。
このように、お子さんは左にあるカラーボックスの上の段から課題を始め、1つ終わったら次の課題に移ります。最終的に一番下まで来たら、そこには次の場所への移動指示カードがあり、それを持ち、次の場所(休憩場所であったり、お茶を飲む場所であったり)へ行き、その時その時に何をすればいいのかを、場所、時間、区切り、そして内容とが全て繋がっているものを提示していきます。
そのため、最初にご本人が行く場所に連れて行ってもらったり、カードを受け取ることで、これら一連の流れがスタートすることになり、また場所に行けば、何をすればいいのか一目瞭然です。
これを早期から行うことで、ASDのお子さんは身の回りのこと、例えば授業の準備をする、親に見せるプリントを出す、宿題をする、おやつを食べる、などが一連の流れとして理解出来るようになります。これをすることにより、先におやつや先にゲームをすることがなくなるのです。
ただし、これは一定訓練を受けた専門家が行い、それを保護者が見て学ぶことで、一貫したものになります。
またこの構造化には視覚的な構造化というものもあります。
カードを提示される際も、そのカードには絵が書いてあります。
これは、次にすることを視覚的に表したものです。
ASDでも自閉症と診断されるくらい重たい場合はこういったものも使いますが、例えばADHDで興奮した時に、【歯を磨く】というルールを作った場合には、口頭で伝えられるよりも、この絵カードで視覚的構造化(手がかり)を示された方が、ご本人としても納得し、動きやすいようです。
療育はどこで受けられるのか
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_0113_04.pdf
入所サービス、通所サービス、それぞれにおいて、医療型と福祉型に分かれています。
療育を受けられる施設はこれらを地域名と合わせて検索すれば調べることが出来ます。
ただ、メールでもご紹介しているように、どうしても行政サービス(補助金を受けていることも含めて)の枠組みでしか出来ないことであったり、十分な支援員が居ないというのも現状なのです。
PECS
PECS(Picture Exchange Communication System)とは、絵カードを用いた代替コミュニケーション手段です。
自閉症やASDにかぎらず、
・自発言語に乏しい
・自発言語出現に時間がかかる(分かっているが言語化までのプロセスに時間を要する)
場合にもよく使われます。
基本的には上記した、視覚的構造化とよく似ています。
日常的によく使われる単語や行動、欲求などをこのようにカードにして、コミュニケーションを取ります。
こうすることで、適切な単語が思い浮かばない、文章化しにくいお子さんでも、意思疎通することへの抵抗を減らすことが出来るのです。
まとめ
このようにいくつかの技法をご紹介しましたが、一番はお子さん本人が楽に生きられるようになることです。全ての技法はそのために存在します。
今でこそ色々知られるようにはなってきましたが、まだまだ正しい活用がされているとは言い難い状態です。まずはこういった技法があることで安心をし、適切な療育を受けられるようにしてもらえたらと思います。
そしてその療育の先には、ご本人のしたいことや進路選択などありますので、その際にはご相談いただけたらと思います。