発達障害 瞬時に言い返せない 仕返ししたい気持ち
今回は、困り感はあるんだけど、それが発達障害由来のものと気づいていない方からのご相談です。
よく騙されるんです
今回のご相談は小端(こばた仮名)さん、34才からのご相談です。
小端さんは私立高校の先生を非常勤(バイト)でされておられます。
最初お会いしたときには、暗い表情、リュックサック、服装にもあまり頓着されない様子、そして何より体臭がきつかったのを覚えています。確認はしませんでしたが、入浴も数日に一度という感じでしょうか。
小端さんは、関西の有名大学を卒業後、塾講師を経て、今の学校の先生になったとおっしゃいます。
今回のご相談内容は「僕、よく騙されるんです。騙した相手に仕返しをしたいんです」というものでした。
仕返しをしたい
ご本人の訴えをお聞きしました。比較的意思のやり取りはスムーズでした。ただご本人がされたこと、受けた仕打ちに対しては非常に強く、またなんとかこらしめてやりたい(=自分は正しいのにという思い)という思いを強く感じました。
そんな彼はアム○ェイから、金融の投資商品(配当が手渡しのものだそうです)までありとあらゆる勧誘の話に乗り、手元にはほとんど貯金もないとのことでした。
大体の彼のパターンは決まっていて、
・『いい話があるんだけど』と勧誘される。
・「とりあえず」という軽い気持ちで聞きに行く。
・「一度考えます」と持ち帰る
・後日会った時に(おそらく煮え切らない彼の態度を見て)相手が強く押す。
・強く出られると引いてしまい、サインをして、お金を振り込む(カードを切る)とのことでした。
そして後から、「騙された。仕返しをしたい」と思うとのことでした。
発達障害の方の陥りやすいパターン
ほとんどの発達障害の方の苦手パターンは、臨機応変ということです。
そのため、どの方にも <その場で判断をしないこと。サインをしないこと> とお伝えしています。
突発的に何かを言われたり、強く言われると言い返すことが出来ないことが多いと言われています。
その背景には、
・心のうちに生じた言語化が苦手
・相手に嫌われたくない
・上手に言おうとすればするほど、固まってしまう。
・相手の論理の展開のスピードについていけない。
があります。
そのため、その場で判断を下すことは、後の後悔や、恨みになることが多いです。
こういった、瞬間的な論理的な判断を求められること、相手に強く出られることは発達障害の方の苦手なパターンの1つに上がります。
ですので、発達障害の方はあまり急いで結論を出そうとさせられている状況になっていると気づいたら、あえて引き下がるようにして下さい。それがいくらうまい話に聞こえてもです。
まとめ
実は上記の方は、発達障害の自覚をお持ちではない方でした。逆に(学校の先生をしているため)「何名か発達障害ではないかと心配な生徒が居る」ともおっしゃっていました。
しかし、こういった方は決して世の中に少なくはありません。
発達障害の治療において、まずは何より自覚(発達障害の自覚というよりは、瞬間的に判断をすること、プレッシャーをかけられた状態で判断を求められることが苦手という自覚)を持つことが一番重要です。
もし周りでそういった方が居られた場合は、まずは軽く【慎重に判断をすること】、そして、【焦って決めさせないこと】が重要です。
ただし、逆にあなたが彼のような方の上司の場合には、なかなか煮え切らない態度にイライラ来てしまい、早急な判断を求めることもあると思われますので、そういった場合は、後で意見を翻す可能性がある(それでも上司側から強く出るとさらに上司寄りの意見になるのですが)ことを知っておいて下さい。
そしてこういったことが自覚がない発達障害の方には起こりやすいということを是非保護者の方は知っておいてもらえたらと思います。