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発達障害の「自分をマネジメントする」とは

2018.04.17

発達障害の治療と支援の 臨床心理士の舩曳です。

 

さて、保護者からのご相談が多いことの1つとして、ご本人の衝動的な行動や、対人関係の躓きなど、『なんでうちの子は上手く出来ないのかしら?』ということをお聞きします。

 

いわゆる<適切な場面で適切に振る舞うための方法>ですね。

今回はそのやり方とコツについてお話したいと思います。

 

まずは正解を知る

まず発達障害の方にとって、社会的に受け入れられる方法というのは、当事者からは思いもよらないものであることのようです。もちろん全ての発達障害の方がという意味ではありません。

 

ただ、聞けば聞くほど、ご自身で状況を正確に読んで、それを正しく理解し、さらにその通りに行動するというのは、メモリをたくさん使ってしまう作業となるため、どこかにぎこちなさ、あるいは時間がかかる、最悪の場合は、一貫性がないという態度になることが多いです。

 

そのため、まずはモデルとして、「こういう場合はこうした方がいいんだ」ということを教えてあげる必要があります。

 

分岐点を知る

分岐点とは、その行動選択をする前のきっかけのポイントです。

 

例えば友人関係でぶつかってしまったときには、当事者の誤解があったのかもしれませんし、相手がこちらをからかってきて上手にその冗談を汲み取れなかった、一度に多くのことが同時に起こって、全てに対処が出来なかったなどが考えられます。

 

後から同じ【ような場面】に出会った時に、同じ態度で応じるためには、目で見て分かる、自分が正しい態度を取るべき分岐点を分岐点と認識する必要があります。

 

更に言うと、発達障害の方は、正確でかっちりしたものを好むため、融通が効きにくい場合があります。

 

上記の場合では<友人関係でぶつかった場合>とひとくくりにしたいのですが、ご本人からは、AくんとのトラブルはパターンA、BくんとのトラブルはパターンBと認識しやすいのです。

 

そのため、こういった場合にはご本人が多くを覚えずに済むためにも、

・分岐点は友だちとのトラブル時。トラブル時とは相手が怒った、自分がモヤモヤしている時。

・正解となる対処法は、一旦自分の感情は置いておき、正しい情報(この中には相手の感情も含まれます)を集める。その後、第三者(この人なら中立的に解決してくれると思える人)に情報を伝え、判断してもらう

 

ということになります。全部自分で解決しようと思わないことが大事なことです。

 

やりきるためのポイント

先程も伝えましたが、全部を自分で解決しようと思わないことです。

 

感情的になることで、後々不利な状況を生み出してしまうこともありますので、一旦自分の感情は置いておくこと、それこそ俯瞰して自分を眺めているような感覚を持てると一番良いです。

 

後で問題解決のために必要と思われる情報を集めておくこと、そのためには相手の言い分も重要です。特にこちらをいじってくるような相手こそ、何か思っていることがある(すぐにその感情を言わない方も居ますが、自分以外との接し方を見ているとヒントは見つかります)と信じて情報収集に務めた方がいいです。

 

どちらかというと自分を操縦している自分が居て、どうしたら上手く振る舞えるのかを、事前に教えてもらっている正解との共通点を見つけ、そのとおりやりきることが、発達障害を持つ方の現実的な対処法になります。

 

理想は自分を操縦している自分が居て、その操縦している自分が上手く振る舞えるように指示を出すので、その通りに動くという感覚が一番分かりやすいかと思います。

 

全てを自分で解決するのではなく、自分にとって臨機応変さを必要としない状況とするために、得意なところ(不変の事実や、客観的な情報を伝えること)を出来るだけ活かすようにしましょう。