コミュニケーションは能力ではない
一番多い相談は『うちの子のコミュニケーション力は元に戻るでしょうか?』というものです。
コミュニケーションを能力と考えている方はとても多いのですが、この考え方では出口が見つからない(欲しい答えは得られない)ので、いつもお伝えしているのは先が明るく見える考え方、そして具体的な方法についてお伝えしています。
コミュニケーションとは何なのか
もう何度も登場しているので、今回はあっさりと。
コミュニケーションとは、他者と意思疎通をする際に用いられる、言語・非言語のやり取り全てを指します。
言葉や語気、リズム、抑揚など言語に言及するものもあれば、雰囲気、アイコンタクト、ボディランゲージなど、非言語のものもあります。
発達障害の場合、特にASDのお子さんはこのコミュニケーションが全般的に苦手です。逆にコミュニケーションが苦手である場合、ASDという診断名が付きます。
他者との意思疎通で齟齬やすれ違い、あるいは誤解を受けるため、その結果いじめや、グループから浮くなどのしんどさがあり、コミュニケーション能力が弱いと判断されることが多いようです。
コミュニケーション改善の考え方
コミュニケーションは本当に能力なのでしょうか?
例えばASDも何もなく、狼に育てられた少年は自分を狼と思い、人間に保護された後もコミュニケーションを取ろうとはしなかったそうです。
逆に犬は飼い主が落ち込んでいたら、慰めようとしてくれますし、また構ってくれないとすねます。
ということは言葉ではなくても成り立つコミュニケーションは在り得るということになります。
生まれつき持っているものかと言われると、その生まれつき持っているものは、私はあくまで器に過ぎず、そこに何を入れていくかは後天的な環境によるものと考えています。
人は後天的にコミュニケーションを身につけるのであって、生まれつき出来るものではないと考えています。であるなら、コミュニケーションは生まれつきの能力ではなく、スキルなのではないでしょうか?
というのも、例えば異性の気持ちは小学生くらいまでの児童期にはいまいち分からなくても、徐々に異性に対する好きという気持ちが芽生え、それから恥ずかしいけど、仲良くなるために話すということを続けているうちにコミュニケーションが上手になっていくからです。
個人的にはコミュニケーションは生まれついてから一生変わらないものではなく、後天的に身につけることが出来るスキルだと考えています。
自己理解がスキル獲得への近道
スキルだと考えることで、誰でも身につけることが出来ます。
ただ発達障害のお子さんの場合は、「自分がしたいことや話したいことを優先させたい気持ち」が非常に強いため、そこの部分をご自身でも納得し、調整していく必要があるのです。
つまり、自己理解することがスキルを獲得しようとの原動力になり、衝動的に内側から起こってくる自分のしたいことよりも、場を見て、より適切な言葉やタイミングでコミュニケーションしていくことが出来るのです。
何より困り感がない方には自覚も自己理解もないため、なかなか内なる衝動性に勝つことが出来ません。
【まとめ】
コミュニケーションは後天的に身につけることが出来るスキルであり、それは、自己理解とともに身につけることが出来る、このことを覚えておいて下さい。
お子さん自身にニーズが出てきたとき、コミュニケーションスキルを少しずつであっても身に付けていくことが出来るようになります。